知的障害者カップルの結婚に不妊処置提案、8組応じる 北海道の施設

阿部浩明
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 北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営する知的障害者施設で、利用する男女が結婚や同居を望んだ場合、同会側がパイプカット手術などの不妊処置を「提案」していたことがわかった。同会によると、20年以上前から同様の対応を取り、これまでに8組16人が応じた。「避妊を希望する本人や家族に提案して同意を得ており、強制はしていない」としている。

 あすなろ福祉会が19日に記者会見して明らかにした。北海道は同日午後に同会に職員を派遣し、関係者から聞き取りを行っている。

 同会によると、知的障害のある利用者の男女が結婚や同居を希望した場合、同会側から、障害者カップルが子育てをすることの困難さなどを、家族同席のもとで説明。その上で、「子どもは欲しくない」との意向であれば、男性にはパイプカット手術、女性には避妊リングを装着するなどの不妊処置法を紹介してきたという。

 1996年ごろから、8組16人が不妊処置に応じた。このうち6組は現在、同会が運営するグループホームの個室で同居している。残る2組は結婚し、通所しながら就労支援を受けていた。このうち1組は自立のため、すでに退所したという。

 会見した同会の樋口英俊理事長は「障害者どうしの自由な付き合いを尊重しつつ、しかし現実にはさまざまな障壁があるため、そのことを真摯(しんし)に家族や本人に説明するのがわれわれの責務だ。その説明の中で、子どもを望まないのであればこういう方法がある、と不妊処置を提案してきた。本人の意向に反して強制したことはない」と話した。

 同会は89年に設立され、北海道南部の渡島、檜山地方で、障害者や認知症患者向けの福祉施設など約50カ所以上を運営する。同会によると、利用者は計410人という。(阿部浩明)…

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