鶴岡「大山上池・下池」近くに風力発電計画 市民団体が反対署名運

鵜沼照都
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 山形県鶴岡市加茂地区の日本海に面した尾根に、風力発電所を建てる計画が持ち上がり、市民団体らが反対署名を集める活動をしている。建設計画地が、水鳥の生息地を保全・活用する国際条約「ラムサール条約」に登録されている県内唯一の湿地「大山上池・下池」から2~3キロほどの場所だからだ。

 石油元売り最大手のエネオスホールディングス傘下で、国内外で風力発電所の建設や運営を手がけるジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京都港区)が現在、適地かどうかを調べる風況観測を進めている。同社によると、4200キロワットが発電できる高さ145メートルの風車を8基建て、2028年度の運転開始を目指すとする。

 署名活動は「出羽三山の自然を守る会」の佐久間憲生さんらが呼びかけてつくった風車建設に反対する会が実施している。

 署名への呼びかけの中で、大山上池・下池にはコハクチョウやマガモ、天然記念物のオオヒシクイなど約200種の野鳥の飛来・生息が確認されている点を指摘。自然エネルギーの活用に理解を示しつつも、野鳥が飛来しなくなったり、風車に激突したりすることに懸念を示す。

 今年のラムサール賞を受賞した「日本雁を保護する会」の呉地正行会長も「野鳥に重大な影響を与える恐れがあり、ラムサール湿地としての同池と周辺の自然資源の価値を著しく損なうことになる」として中止を求めるメッセージを送っている。

 JREは「自治会とも連携の上、説明会などを通じて計画についてしっかりと説明し、質問には丁寧に答え理解を得ながら進めてまいります」と話している。

 同社は同じ鶴岡市の日本海沿岸で「鶴岡八森山風力発電所」を21年11月から運転している。八森山から約5キロ北側の「三瀬矢引」でも、24年8月の着工、27年1月の運転開始を目指して建設計画を進めている。(鵜沼照都)

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