傘やイヤホン…電車内の忘れ物、捨てません 鉄道会社のリユース作戦

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足立優心

 【神奈川】傘や服、イヤホン――。電車内の忘れ物を廃棄せず、「商品」に生まれ変わらせる取り組みが進んでいる。再流通させることで、二酸化炭素(CO2)排出の削減にもつながっている。

 忘れ物の取り扱いは遺失物法に定められており、警察に届けることなどが規定されている。ただ、多くの忘れ物を扱う公共交通機関などは自社で原則3カ月、忘れ物を保管できる。この期間を過ぎても持ち主が現れなければ、売却、廃棄することができる。

 東急電鉄ではこれまで忘れ物は全て廃棄してきたが、昨年末から中古品販売大手のブックオフ(相模原市)と連携。保管期間を過ぎた忘れ物をブックオフに売却し、店舗などで再流通させる実証実験を始めた。ブックオフはこれまでにも自治体や企業と連携してきたが、鉄道会社との連携は初めてだという。

 東急では2020年度の1年間で約25トンの忘れ物があった。傘や服が多くを占めるが、空のスーツケースやサーフボード、忘年会などのプレゼントと思われる忘れ物もあるという。

 昨年12月~今年3月の期間で、忘れ物の15%程度にあたる計1239キロをブックオフに売却した。ブックオフは買い取った忘れ物をリユース(再使用)とリサイクル(再資源化)に分別する。1239キロのうち、6割程度にあたる768キロ分を国内外のブックオフでリユースし、残りはリサイクルされているという。

 国内ではイヤホンや小型扇風機、本など計223キロが店頭に並んだ。ブックオフはマレーシアとカザフスタンに計10店舗を展開しており、傘や文房具、時計など約540キロを海外店舗で販売しているという。

 汚れが目立つ服や壊れ物はリサイクルし、ぞうきんなどに生まれ変わる。東急によると、これらの取り組みの結果、約3・2トンのCO2排出削減にもつながっているという。実証実験は年度末まで行う予定だ。

 6月からは路線バスや高速バスを運行する東急バス・東急トランセの忘れ物にも対象を拡大し、さらなる資源循環を図っている。バスでも21年度は約5トンの忘れ物があり全て廃棄されているという。東急の担当者は「今後は東急の商業施設などの忘れ物まで取り組みを広げられれば」と話す。

 相模鉄道と相鉄バスでは今年…

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    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2022年11月4日22時4分 投稿
    【提案】

     この記事にあるような取り組みは、いわゆるウィンウィンになる取り組みの典型です。経済も回り、地球も喜ぶ取り組みです。さらにこうしたものを社会的・経済的に弱い立場の方に回していくことが出来れば、社会も喜ぶようになります。誰もが良いと思うにもか

    …続きを読む