私大の2割強「中長期で値上げの方向」 コスト急増に「もう限界」
私立大学の22%が、中長期(5~10年)の見通しとして「全学部」または「一部学部・学科」で値上げの方向と回答――。朝日新聞と大手予備校・河合塾が全国の大学を対象に実施した共同調査「ひらく 日本の大学」では、そんな結果となった。
埼玉県などにキャンパスのある文教大は「エネルギー価格等の上昇を考慮し、23年度入学者から全学部で1万円を値上げ」と回答した。担当者は、要因として電気代の値上がりを強調する。「電力会社に値上げの見通しを伝えられて検討し、決めた。幼稚園、小中高校、3カ所の大学キャンパスがあり、全体でかなりの金額になる。コロナ禍の対応は学費を上げずに耐えてきたが、もう限界だ」
調査では、485の私立大の22%が、中長期の見通しとして「全学部」または「一部学部・学科」で値上げの方向と回答した。私立大は、平均で収入の8割近くを学生納付金が占めるだけに、学生にしわ寄せがいきやすい。
一方、国立大は収入の4割が国からの運営費交付金でまかなわれ、学納金が占める割合は14%程度にとどまる。高等教育の機会均等を掲げる国立大は、1%が「値上げの方向」と回答。公立大は0だった。
円安や、コロナ禍やウクライナ危機などを受けた電気代の高騰、資材不足が、多くの大学にさまざまな形で影響を及ぼしていることが、朝日新聞と河合塾による共同調査「ひらく 日本の大学」で分かった。大学の支出増は、私立大を中心に学費の値上げにもつながりそうだ。このままでは研究や学生の教育にも悪影響を及ぼしかねないと、関係者は危機感を強めている。
「中長期で値上げ」と回答し…
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