ジェンダーの境界越えた「羽生結弦現象」 日米で異なる評価軸とは

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聞き手・中島鉄郎

 プロ転向を表明したフィギュアスケートの羽生結弦さんが11月、初の単独アイスショーを開く。その人気は衰えるどころか、いまも一挙一動に注目が集まる。「羽生現象」の背景を、スポーツとジェンダーの関係を研究する立命館大学の岡田桂教授に聞いた。

 ――日本での羽生人気をどう考えますか。

 「羽生選手は、五輪の2大会連続金メダルはじめ、世界の舞台で圧倒的な競技成績を残してきました。これだけ世界で活躍したトップレベルの選手に人気が集まるのは、ほかの競技でみても当然のことでしょう」

 「ただ、スポーツとジェンダーを研究する立場から言えば、彼へ向けるまなざしが、英米と日本ではかなり違うことが興味深いです。フィギュアスケートという競技がもつ特異性もからんでくる話です」

 ――英米と日本では、見方がどう違うのですか。

 「羽生選手を米国メディアがどう見ていたか、参考になる記事が二つあります。2018年冬、ニューヨーク・タイムズ紙とTIME誌が時を同じくして羽生選手を特集しました」

 「ニューヨーク・タイムズ紙の記事には、『優美さと気品を備えた演技によって、厳格なジェンダーの境界をあいまいにする』という記述があり、またTIME誌には『彼が遂行する動きによって、ジェンダーの境界を越える傾向にある』と書かれています。羽生選手をジェンダーを超える、という見方をしています」

 ――どういう意味なのでしょうか。

 「二つの記事とも、『イナバ…

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