「トイレをきれいにすることから始めた」 JR東社長が語る150年

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聞き手・松本真弥 細沢礼輝
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 鉄道が日本で開業して150年を迎えた。津々浦々に延びた路線は生活の足となり、経済の発展に貢献した。ただ人口減少でローカル線は乗客が減り、曲がり角にある。JR北海道や四国は自力での経営がままならない。どう向き合うか。JR東日本の深沢祐二社長に聞いた。

 ――これまでの鉄道の歩みをどう振り返りますか。

 「明治政府が誕生し、その翌年に鉄道の建設を決めた。走り始めたのは明治5(1872)年。軍備優先の議論もあったなかで、そのスピード感に改めて気概を感じる」

 「国鉄民営化から35年。国鉄時代はトイレが汚く、駅員が乗客に切符を投げつけていた。JR東はトイレをきれいにすることから始めた。まずは駅に来てもらえるように。次のステップは駅周辺や駅ナカの開発で、いかに駅を便利にしていくかだった」

 「都市部での人口増加の恩恵も受けた。民営化後のテーマは(多くの負債を抱えた国鉄時代からの)鉄道の『再生・復権』だった。ICカード乗車券の普及や民鉄とのネットワークの広がりで、乗客も増え、再生・復権は一定程度達成できた。一方、人口減で大量輸送のメリットが生かせず、転換点にある」

 ――7月に利用の少ないローカル線の収支を公表しました。

 「鉄道は一定の利用がないと本数が減り、使い勝手が悪い。ローカル線沿線では、車を2台所持している家庭も多い。限界のラインはある。将来にわたり鉄道でやるべきか、違う交通手段にした方がプラスか。問題提起をさせてもらった」

 「地域の生活は何らかの足がないと成り立たない。それをバスにするのか。専用道を走るBRT(バス高速輸送システム)や(自治体が鉄道施設を維持する)上下分離方式もある。管内に地域交通のモデルをつくってきたので、自治体の皆さんには参考にしてもらいたい」

 ――交通手段をバスなどに転換した後の支援についてどう考えていますか。

 「地域交通としていなくなる…

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この記事を書いた人
松本真弥
経済部|エネルギー・金融担当
専門・関心分野
九州経済、運輸、SAF