鉄道貨物なくなれば「北海道のジャガイモ値上がりも」 JR貨物社長

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編集委員・堀篭俊材 松本真弥
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 JR貨物の犬飼新(しん)社長(62)が朝日新聞の取材に応じ、北海道新幹線の札幌延伸に伴う並行在来線の函館線(函館―長万部間、約148キロ)の存廃問題について、「一部でも廃止になれば全国の貨物ネットワークに多大な影響が及ぶ」と懸念を示した。北海道から本州への鉄道貨物輸送ができなくなれば、コスト増で食品価格上昇にもつながりかねないとした。主なやりとりは次の通り。

 ――函館線の函館―長万部間が廃止された場合の影響は。

 「北海道と全国が貨物網でつながっていることで貨物鉄道ネットワークが成り立っている。北海道からは農産品や乳製品、紙製品が全国へ発送されている。関東や関西に発送される農産品のシェアは高い。函館線を貨物列車が走れなくなれば、道内に限らず全国に与える影響は非常に大きい」

 「北海道と全国との間で鉄道貨物のやりとりがなくなれば、東北線や秋田、新潟などを通る日本海縦貫線などの貨物の量も縮小し、駅の土地や設備が使われなくなり、JR貨物の収支が大きく悪化して事業を縮小せざるを得なくなる。北は仙台までで鉄道貨物網が止まってしまうかもしれない。最終的には西日本だけで鉄道貨物網は十分だという話にもなりかねない」

 ――フェリー輸送などの代替策は。

 「青函連絡船で運んでいた時代のように輸送にかかる時間が増える。市場に届く時間が遅くなり、農産品の売れ行きに影響が出るかもしれない。野菜が食卓に届きにくくなる可能性もある。物流費もかさみ、運賃に転嫁する必要が出てくる可能性もある。北海道のタマネギやジャガイモの価格が上がって高級食材になれば、普通にカレーライスが食べられなくなるかもしれない」

 ――斉藤鉄夫国土交通相が20日の閣議後会見で、函館―長万部間の存続問題をめぐり国と北海道、JR貨物、JR北海道の4者で協議する方針を表明しました。

 「国からは何も聞いていない…

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