第9回名物のスイッチバック、残したいが 「Z」の急勾配が阻む乗り入れ

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上田潤

JR木次線

 島根県奥出雲町の山あいにあるJR木次(きすき)線亀嵩(かめだけ)駅。観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」が到着すると、法被姿の杠(ゆずりは)哲也さん(59)が「弁当そば」(620円)を手にホームにやってくる。予約した乗客の名前を呼び、代金と引き換えに弁当を手渡す。「出前」はおろち号の名物風景になっている。

 島根県の日本海側から広島県北部の中国山地にかけて走る木次線では、1998年から奥出雲おろち号が木次―備後落合間で運行している。ガラスがない車窓から望む田園風景や山々が美しく、時期によっては切符が取れない人気列車だ。

 しかし2021年、JR西日本は、機関車の老朽化などを理由に23年度での運行終了を発表した。これに対し島根県や沿線自治体は運行継続を要望。同社は代替案として24年度から、山陰線の観光列車「あめつち」の木次線乗り入れを提案した。

 しかし、これで一件落着とはいかなかった。あめつちの木次線乗り入れは出雲横田駅まで。終点の備後落合駅まであと5駅なのに、なぜ運行できないのか。

なぜ運航できないのか。記事後半ではその理由とともに、「3段式スイッチバック」の解説や名物風景の列車到着時のそばの出前を動画でご覧頂けます。

■近づく終点「注文入らないか…

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