沖縄知事選、辺野古ノーを訴える玉城デニー氏再選 政権推す候補破る

山中由睦 光墨祥吾
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 沖縄県知事選が11日投開票され、現職の玉城デニー氏(62)=立憲、共産、れいわ、社民、沖縄社会大衆推薦=が前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)=自民、公明推薦=らを破り、再選を決めた。米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非が最大の争点で、玉城氏は「新基地建設を止める」と主張。前回、前々回の知事選同様、自公政権に移設ノーの民意を突きつける結果となった。

 今年は沖縄の日本復帰から50年で、辺野古移設浮上から7回目の知事選。玉城氏は、移設ノーでまとまる政治勢力「オール沖縄」を誕生させた故・翁長雄志(たけし)氏の遺志を継いで4年前に初当選。軟弱地盤判明に伴う政府の設計変更申請を不承認とし、政府と対峙(たいじ)してきた。

 玉城氏は今回もオール沖縄の支援を受け、移設阻止を掲げた。設計変更の不承認で大半の埋め立てが進められない状態となっていることを1期目の実績として強調。「あらゆる手立てをとり、平和で豊かな基地のない沖縄を実現する」と語り、移設に反対する根強い県民の思いに訴えた。

 県民の経済への関心の高まりも意識し、経済や子どもの貧困対策を辺野古の問題と同列に位置づけ「誰ひとり取り残さない沖縄をつくる」と、子育て世代への浸透も図った。選挙戦最終日には、推薦を受けた5政党の全党首もそろって街頭に立ち、移設問題への強硬姿勢や「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」をめぐる問題に触れ、政権側を批判した。

 前回に続く2度目の挑戦となった佐喜真氏は、4年前にあいまいにした辺野古移設への姿勢について「容認」と明言。軟弱地盤判明に伴う政府試算で工期のさらなる遅れが出ている移設計画について「工期短縮」「普天間の2030年までの返還」を掲げた。経済の低迷は現県政に原因があるとして「経済危機突破」をスローガンとし、減額が続く国の沖縄振興予算の3500億円確保や、コロナ禍で傷んだ観光業界を中心に1千億円規模の支援を公約した。

 しかし、基地問題も経済振興も、実現のプロセスや財源の裏付けなど、具体的に説明することはなく説得力を欠いた。告示前には、旧統一教会の友好団体の会合にかつて参加していたことが判明。選挙戦初日に「今後は関係を一切絶つ」と宣言したが、公明支持層を含め、不信感を払拭(ふっしょく)できなかった。

 元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(61)は、辺野古問題を最大の争点と位置づけ、鹿児島・馬毛島に普天間の訓練を移転するなど独自の見直し案を主張したが、衆院議員時代に支援を受けてきた地場企業が離れるなどし、支持を広げられなかった。

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この記事を書いた人
山中由睦
広島総局|政治、経済
専門・関心分野
地方政治、地域医療
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    米重克洋
    (JX通信社 代表取締役)
    2022年9月11日21時38分 投稿
    【解説】

    今回の沖縄県知事選では、弊社(JX通信社)も前回に引き続き琉球新報社、沖縄テレビと合同で調査を行うなど、事前の調査を何度か積み上げていた。 一貫していたのは玉城氏が無党派で大差のリードをしており、自民支持層にも一定割合食い込んでいたこ

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2022年9月13日8時37分 投稿
    【提案】

     沖縄県知事選挙には他の都道府県の選挙と異なる部分があります。それは沖縄県知事が県という地方自治単位の首長であるとともに、県内だけでなく、日本や諸外国に在住する沖縄人(ウチナーンチュ)を統合する象徴の機能を持っているからです。私の父は東京出

    …続きを読む