8兆円の「隠れ補助金」 税優遇が乱立、揺らぐ公平性
特定の企業や個人の税負担を優遇する「租税特別措置」(租特)による税の減収額が、少なくとも年8兆円を超えることが分かった。税収全体の1割を超える規模にもかかわらず、情報公開や効果のチェックが不十分で、「隠れ補助金」とも呼ばれる。歳出増が確実視される来年度予算案の編成が今後本格化するなか、租特の取り扱いも議論を求められそうだ。
租特は「公平・中立・簡素」を原則とする税制の例外で、租税特別措置法(租特法)で規定される。住宅購入を後押しするために借入金の一定割合を所得税から差し引く「住宅ローン減税」、企業の研究開発を後押しするために費用の一部を法人税額から差し引く「研究開発減税」など367項目(今年1月時点)がある。
財務省は毎年、租特でどれだけ国の税収が減ったのかを試算して国会に提出している。その資料などによると、最新の数値となる2020年度の減収額は8兆478億円。同年度の税収(60兆8216億円)の約13%に及ぶ金額で、消費税でいえば約3%分に相当する。試算はすべての項目をカバーしておらず、例えば、株式の売却益への優遇措置は「減収額が相場次第で変わる」との理由で入っていない。実際の減収額はさらに大きいとみられる。
現在と同じ形で試算が残り、比較可能なのは07年度(減収額7兆5310億円)まで。減収幅は20年度までの13年間で7%増えている計算だ。財務省によると、06年度以前は一部の租特のみを対象にした試算しか残っていない。
項目別にみると、石油化学製品の原料ナフサを非課税にする「ナフサ免税」による減収が3兆4950億円で最も大きい。次いで住宅ローン減税が7630億円、研究開発減税が5053億円などと続く。
租特は所得税や相続税など…
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