性別変更した女性、長女の「父」と認定 東京高裁 次女は認められず

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田中恭太
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 男性から性別を変えた40代女性と、性別変更前に凍結した精子を使って生まれた子ども2人との法的な親子関係が認められるかが争われた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁であった。木納敏和裁判長は、一審・東京家裁判決を変更し、性別変更前に生まれた長女について、女性が「父親」だと認めた。変更後に生まれた次女は、一審に続き親子関係を認めなかった。

 40代女性は男性として生まれたが、性自認は女性。パートナーの30代女性が2018年、凍結保存した精子で長女を出産した。40代女性はその後、性同一性障害特例法に基づき、性別を変更した。20年にはやはり凍結精子で次女が誕生した。子2人の戸籍の父親欄は空欄で、40代女性と子2人には法律上の親子関係がない。子2人が原告となって認知を求めていた。

 長女について、今年2月の一審判決は「凍結精子を使うことで、変更前の性別の生殖機能で子が生まれるのと同じ事態を生じさせた」と指摘。特例法が、親子関係や社会に問題・混乱が生じるのを避けるために、手術で生殖機能を失わせることなどを性別変更の要件に定めていることに照らし、親子関係を認めるのは適当ではない、と判断した。

高裁「性別変更しても、変更前の権利に影響なし」

 だが二審判決は、特例法が性別を変更しても「変更前の権利義務に影響を及ぼさない」と定めていると指摘。長女には誕生時、当時男性だった女性に「父親」として認知を求められる権利が生じ、この権利を「(親が性別を変更したという)自己と関係のない事情で失うのは相当ではない」と判断した。

 性別変更後に生まれた次女に…

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