八ツ場ダム生活再建事業のイチゴ生産組合が解散へ 長野原町
八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設に伴う生活再建事業として整備され、長野原地区でイチゴ栽培を手がけてきた「長野原園芸生産組合」が、今シーズン限りで解散することがわかった。組合員の高齢化や、燃料費の高騰などが要因となった。
町農林課などによると、組合は2008年、ダム事業で農地を手放した長野原地区の兼業農家8人でつくり、イチゴのハウス栽培を始めた。
施設は、管理棟、育苗棟のほか、1千平方メートル超の栽培棟が二つある。ダム受益者となる下流都県が負担金を拠出する水源地域対策特別措置法に基づく事業として町が2010年度に建設し、組合に貸していた。ハウス建設などにかかった初期費用は約1億円という。
イチゴ栽培は当初は順調だったが、組合員の高齢化が進み、担い手が徐々に減っていった。16、17年と担い手募集のチラシを水没5地区(川原畑、川原湯、横壁、林、長野原)に配ったが、応募者はゼロだった。施設も老朽化したうえ、ここ最近の燃料費の高騰が追い打ちをかけた。
昨年から組合長を務めている浅沼清一さん(83)によると、ハウスの暖房用に使っていた重油の値上がりで、この冬の3カ月だけで300万円ほど持ち出しがあったという。
浅沼さんによると、イチゴ栽培は初めての経験だったが、農業の指導者に教わりながら取り組んだ。「やよいひめ」と「章姫(あきひめ)」の2品種を育て、地域の名前を取って「幸神(さいのかみ)いちご」としてPR。道の駅などに出荷し、多い時は年間700万~800万円の売り上げがあったという。今シーズンは栽培法を改良。「イチゴが大きくて甘くなった」と評判もよかった。
現在は、浅沼さんやパートの女性らがイチゴを収穫し、パック詰めなどの作業を続けている。今シーズンの収穫が終わる6月をめどに、ハウス内の水を止め、栽培を終える予定という。「組合を続けていく後継者がいない。だれかが続けてくれればよかったけれど、仕方がない。残念です」
組合の解散方針を受け、町は「引き続き活用をしてもらいたい」と施設を公売にかけることにした。まずは町民を対象に6月2日に町役場で公売(競り売り)を開く予定だ。町の担当者は「できればイチゴの栽培を引き継いでもらえれば」と話している。
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