ロシア外交官、侵攻に抗議の辞職 「噓を広め、戦争を煽っている」

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 国際人権団体のUNウォッチ(本部スイス・ジュネーブ)は23日、ジュネーブで現地の国連機関を担当するロシアの外交官がウクライナ侵攻に抗議して辞職し、亡命したと発表した。この外交官は在ジュネーブ国連代表部のボリス・ボンダレフ参事官で、侵攻以降に亡命した最も高位のロシア外交官だとしている。

 ボンダレフ氏のものとされるSNSアカウントの23日の投稿で、辞職を明らかにする書き込みがあり、これを元にロシアやウクライナのメディアが報道。ロシア有力紙コメルサント(電子版)は本人に電話取材し、23日午前に辞職願を提出したことを確認した、としている。

 UNウォッチによると、ボンダレフ氏はジュネーブにいる外交官たちに宛てた声明で、「(外交官としての)20年間、わが国の外交政策の様々な展開を見てきたが、(ロシアがウクライナに侵攻した)2月24日ほど母国を恥じたことはない」と記した。

 「プーチン(大統領)が仕掛けた侵略戦争は、ウクライナ国民に対する犯罪というだけでなく、おそらくロシア国民に対する最も重大な犯罪だ」と指弾。ロシア国内で広まっている、戦争支持を表す「Z」の字を引き合いに出し、「戦争は我が国の民主主義に対する希望をZの字で塗りつぶしている」とも述べた。

 UNウォッチは発表文の中で、ほかのロシア外交官もボンダレフ氏にならって辞職するよう呼びかけた。さらに、欧米諸国に対し、より多くの外交官の亡命を促すため、本人と家族の保護に関するプログラムをつくるよう提案している。

 UNウォッチが発表したボンダレフ氏の声明の要旨は以下の通り。

「戦争企てた者、無限の権力を謳歌しようとしている」

 私の名前はボリス・ボンダレ…

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年5月24日10時15分 投稿
    【視点】

    ボンダレフ氏の声明は、エリツィン政権時代に外相だったコーズィレフ氏の最近の呼びかけと通じる内容です。 コーズィレフ氏は開戦早々の3月2日、ロシアの外交官に抗議の辞職を促して以下のように主張しました。 「みなさんはプロフェッショナルであり

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