第7回筋トレブームの中で起きた選手の逃亡劇 識者が鳴らす初心者への警鐘

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編集委員・中小路徹

 まさかの「選手の逃亡」だった。

 昨年12月19日、東京・有明コロシアム。国際ボディビル・フィットネス連盟(IFBB)主催の「世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ」が開かれていた。

 男子ボディービルで、各階級の優勝者が最後に争うオーバーオール審査が終わった後のことだ。85キロ以下級と90キロ以下級を制したアラブ首長国連邦(UAE)の2選手に、検査をサポートする日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の通告員が告げる。「検査対象です」。すると、2人は検査を受けずに会場から立ち去った――。

 会場で運営をサポートした日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)アンチドーピング委員の宮島望さんはこう振り返る。「2015年のアジア選手権でも同様のことがあり、みすみす逃したわけではない。関係者が押しとどめたのにもかかわらず、一切答えず、振り切って行った」

 検査では尿か血液を採取する。どちらを採取するかは選手によって異なり、直前まで本人に分からないようになっていた。

 「当たり前だが、逃亡するこ…

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この記事を書いた人
中小路徹
編集委員|スポーツと社会
専門・関心分野
スポーツと社会、サッカー、朝鮮半島

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