ブレーキの恐怖、はまった沼 それでも私の線路は続く 39人の卒業
今泉奏
先頭車両の運転席に乗り込むと、あごを少し上げて遠くを眺める。
「私、運転士になるんだ」
そう思うと、レバーを握る手にも力が入る。
3月下旬、名古屋鉄道教習所の運転士科109期生で運転士見習いの諏訪圭香さん(28)は、研修の正念場を迎えていた。
運転士になるためには、中間と最終と2回ある運転技能試験に合格しなければならない。しかし、3月上旬に受けた中間試験の結果はボロボロだった。最終試験まで1カ月を切っていた。
7カ月間にわたり、名古屋鉄道の見習い運転士たちに密着取材しました。兄を追って運転士をめざす妹、父に内緒で挑む息子、女子校育ちの24歳……。 最終回は「沼にはまった」見習い運転士の物語です。
■「考えすぎて迷子でもいい」…