ウクライナの人道危機が深刻化する中、国際社会が再び、ロシア軍に対して即時の完全無条件撤退を迫った。193カ国で構成される国連総会が24日、140カ国の賛成で、ウクライナの人道状況の改善に向けた決議を採択した。ただ、ロシアがどう受け止めるかは見通せない。

 総会では23日から、ウクライナ危機に関する「緊急特別会合」を再開。24日も各国の国連大使らが順次、ロシアに非難を浴びせた。

 「我々は、いかなる軍事同盟の当事者でもない中立国だ。中立性は憲法にも定められている」

 オーストリアのマーシック大使は、国連加盟国として最後の70番目に演説台に立ち、そう話した。同国はEU(欧州連合)の一員だが、NATO(北大西洋条約機構)加盟国ではない。

 「中立とは、価値観の中立を意味しない。また、一方的な、正当化できない国際法違反に直面し、なんらの立場も取らないということでもない。被害者と侵略者をはっきり区別する決議案を、私たちは支持する」

 採択された決議は、フランスとメキシコが中心となり、ウクライナと協力してつくられた。ロシアについては、ウクライナ領内で軍事攻撃をしている▽国連事務総長が停戦を求めている▽悲惨な人道的結果を生んだ――といった文脈で6回言及。「ロシアによる敵対行為の即時停止」も求め、決議案への強い賛意を示す「共同提案国」は90カ国に上った。

 反対票を投じたのは、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、ロシア、シリアの5カ国。棄権票は中国やインド、ベトナムなど38カ国で、無投票は10カ国だった。

 ただ、採択後に40秒間の拍手…

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