年金生活者への給付金 「選挙目当てでは?」ぬぐえぬ疑念
政府・与党がコロナ禍の高齢者向け支援として検討する「年金生活者臨時特別給付金」には、疑問の声が上がっています。若者の視点から各党に政策提言をしている一般社団法人「日本若者協議会」の代表理事、室橋祐貴さんもその一人。「何としても参院選のある7月までに高齢者にお金を入れたいのだろう」と切り捨てます。この給付金には、どんな問題点があるのでしょうか。
室橋祐貴さん
むろはし・ゆうき 1988年生まれ。2015年に一般社団法人「日本若者協議会」を設立。政党や地方自治体などに対し、若者が求める政策を提言している。
政治家の「やった感」
――「年金生活者臨時特別給付金」をどう評価しますか。
年金生活者臨時特別給付金
コロナ禍の高齢者向け支援策として、政府・与党が給付金を配る検討に入った。現役世代の賃金低下による年金額引き下げの影響を打ち消すためとして、年金生活者に一律5千円程度を支給する案が出ている。財源には2021年度予算の予備費をあてる。所得が少なく住民税が非課税の世帯向けに配った10万円の給付金を受け取った世帯は、対象外になる。自民、公明両党の幹事長らが15日に首相官邸を訪れ、岸田文雄首相にこの新たな給付金をつくるよう要請した。
選挙目当ての施策という印象です。合理性がありません。4月から年金額が下がるのは、現役世代の賃金が下がっているから。困っているのは現役世代も一緒なのに、なぜ高齢者だけを支援するのか理解できません。
5千円を1回配ることにどれだけの政策効果があるのでしょうか。政治家が「やった感」を出したいだけでは。それに支給作業のコストが高くなりそうです。
4月からの年金引き下げ
4月からの年金額は、国民年金で259円減って月額6万4816円(1人分で満額の場合)、厚生年金では903円減って同21万9593円(モデル世帯の夫婦2人分の場合)となる。引き下げは2年連続で、現役世代の賃金低下を反映した。
コロナ禍が直撃する「現役」
――コロナ禍では高齢者が対…
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- 【視点】
政策の目的と手段というロジックが全く分からない。だから、どうしても多くの高齢者に5000円を配ること自体が目的に見えてしまう。 現金給付という政策は、誰にいくら利益がもたらされるかということが、これ以上なく分かりやすい政策だ。
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