ライチョウのオス同士を交換、動物園での繁殖→野生復帰実現へ

高億翔
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 国の特別天然記念物・ライチョウを飼育している長野市茶臼山動物園で19日、飼っているオスが別の園のオスと交換された。今年の繁殖に向けた準備作業で、今後、繁殖が成功し、さらにその個体の野生復帰が実現すれば史上初の事例となる。

 半世紀前に絶滅したとされる長野県中央アルプス環境省が進めている「復活作戦」の一環。茶臼山動物園では、中央アルプスに設置したケージで保護していた1家族(オス1羽、メス3羽)を昨年8月に移送し、飼育してきた。オスの交換は近親交配を避けるため。同じく中央アルプスで保護した別の家族を飼育している那須どうぶつ王国(栃木県)から19日、車でオス2羽を茶臼山動物園に移送し、同園のオス1羽と交換した。到着したオスは落ち着いた様子だったという。

 オスは近く、それぞれの園にいるメスと「お見合い」する予定。繁殖に成功すれば、環境省はヒナを含めて中央アルプスに再び移送し、野生復帰を試みる予定だ。

 茶臼山でオス2羽とメス3羽、那須でオス1羽とメス4羽の生活が始まった。「復活作戦」成功のかぎを握る動物園での繁殖実現に向けて、現場で指揮を執る信州大名誉教授の中村浩志さんは「飼育個体の野生復帰は今までに成功例がない。何とか成功させたい」と話した。(高億翔)

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