ライチョウ復活作戦、最難関の挑戦へ 「25年までに100羽」目標

近藤幸夫
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 【長野】中央アルプスで進められている国の特別天然記念物・ライチョウの「復活作戦」の現場指揮を執る中村浩志・信州大名誉教授(74)が、現在の繁殖状況などの成果や今後の課題・目標を明らかにした。来年以降、動物園での繁殖個体を野生復帰させる最難関のチャレンジを迎える。

 ライチョウは本州中部の高山帯にのみ生息し、環境省版のレッドリストでは、近い将来絶滅の可能性が高い「絶滅危惧ⅠB類」に分類されている。中央アルプスでは1969年の目撃例を最後に、絶滅したとされる。

 2018年に北アルプス方面から飛来した1羽のメスが確認されたことを機に、復活作戦が始動。20年には北アルプス・乗鞍岳から3家族19羽(母鳥3羽、ヒナ16羽)を中央アルプスに移送し、飛来メス1羽を加えた計20羽で、復活の礎となる「創始個体群」の確立に成功した。このうち、18羽が21年春の繁殖期に生存が確認された。

 21年は、半世紀ぶりの自然繁殖が確認され、ヒナが46羽孵化(ふか)したとみられる。8月上旬には成鳥を含めて計64羽の生息を確認。1年間で3倍以上に増やすことができた。同時期、茶臼山動物園長野市)と那須どうぶつ王国(栃木県)に各1家族ずつ計11羽を移送して来年の施設での繁殖準備に入った。環境省は、9月以降も生息調査を続けた。10月現在、中央アルプスと動物園を合わせた個体数は約50羽と推測されている。

 復活作戦では、動物園の協力が大きな鍵を握る。園内の施設で自然繁殖させ、母鳥が育てたヒナとともに家族ごと野生復帰させる計画だ。現在、中村さんは地元の茶臼山動物園での繁殖成功に向けて飼育を指導。ライチョウが生息する高山帯のハイマツの実や冬場の食料となるダケカンバの冬芽などを与えるようアドバイスをしている。

 中村さんは「山から下ろした個体を動物園で自然繁殖させるのは、きわめてハードルが高い」とし、今後の目標として「25年までに100羽まで増やし、最終目標として人の手を借りなくとも集団を維持できるレベルにしたい」と言う。

 また、半世紀前に中央アルプスでライチョウが絶滅した原因について、これまでの調査から「明治の終わりから昭和の初めにかけ、教育現場で教材用の剝製(はくせい)標本用にライチョウが捕獲されて生息数が減少し、67年に完成したロープウェーで多くの観光客や登山客が来訪した。人とともに高山に侵入したテンやキツネなどの天敵により、最後に残った集団が絶滅した」との新たな見解を明らかにした。

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