ライチョウ復活へ 「絶滅」の中央アルプスで3ペア越冬

近藤幸夫
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 長野県中央アルプスで絶滅したとされてきた国の特別天然記念物・ライチョウの「復活作戦」を進める環境省信越自然環境事務所(長野市)は、現地で3つがいを確認したと2日発表した。昨年、生息地の北アルプス乗鞍岳(3026メートル)から19羽を移送しており、無事に越冬して繁殖期を迎えたことが確認できた。生息調査をしたライチョウ研究者の中村浩志・信州大名誉教授は「復活の光が見えた」と評価している。

 同省は昨年、母鳥3羽、雛(ひな)16羽の計19羽のライチョウを乗鞍岳から中央アルプスの木曽駒ケ岳(2956メートル)周辺に放鳥。生息数調査を今年4~5月に計5回実施した結果、移送後に成長した若鳥と、2018年に半世紀ぶりに確認された雌とのペアを含む3つがいがなわばりをつくり、繁殖活動をしていることを確認した。

 雛の孵化(ふか)が見込まれる今月下旬から、同省は家族ごとにケージで保護する準備を始める。一部の家族は茶臼山動物園(長野市)と那須どうぶつ王国(栃木県)にそれぞれ移し、来年以降に繁殖させて野生復帰させる予定。25年には、中央アルプス全体で永続的な繁殖が期待できる60~100羽まで増やす計画だ。(近藤幸夫)

 ライチョウ 本州中部の北アルプスなど5山域の高山に生息する。1980年代に約3千羽と推測された生息数が最近は2千羽弱まで減少。レッドリストで絶滅の恐れの高い現在の「絶滅危惧ⅠB類」から「絶滅危惧Ⅱ類」に下げるには生息地が6山域以上必要。このため環境省は、群れとしての生息が確認されていなかった中央アルプスで、2019年から「復活作戦」を進めている。

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