環境省がライチョウ目撃情報を登山者に呼びかけ

近藤幸夫
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 環境省信越自然環境事務所(長野市)は、国の特別天然記念物ライチョウの目撃情報観察カードを作り、中央アルプスを訪れた登山者に情報提供を呼びかけている。約半世紀前に絶滅したとされる中央アルプスで「復活作戦」を展開しており、ライチョウの保護増殖活動に役立てる。

 同省は昨年、北アルプス乗鞍岳(3026メートル)からライチョウ3家族計19羽を移送して放鳥した。現在、2018年に確認されたメス1羽を含む最大20羽が、木曽駒ケ岳(2956メートル)周辺に生息しているとみられる。

 今年は、新たに誕生する家族を木枠と金網で作ったケージで現地保護して増やすほか、茶臼山動物園(長野市)と那須どうぶつ王国(栃木県)の2施設に移送して動物園での繁殖も予定。来年以降、この施設で誕生した個体を中央アルプスに戻し、25年には60~100羽に増やす目標を立てている。

 中央アルプスでは半世紀ぶりに群れが復活したため、継続調査をしている乗鞍岳のように生息状況のデータがない。ライチョウは季節によって移動するため、巣探しやケージの設置場所の選定が難しい。放鳥したライチョウの多くは、左右に2個ずつ色違い(赤・黄・空・白・黒)の足輪をつけており、登山者の目撃状況が今後の保護増殖活動の貴重な参考資料となる。

 観察カードに観察日時や地点、足輪情報、写真の有無などについて記入し、「中央アルプス駒ケ岳ロープウェイ」のしらび平駅や千畳敷駅、宝剣山荘にある専用回収箱に入れる。同省の担当者は「ライチョウたちは広範囲に分散してなわばりを作ると考えられる。登山者の目撃情報は、生息分布の調査に役立つ」と期待を寄せる。問い合わせは、同事務所(026・231・6573)へ。(近藤幸夫)

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