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第2回ごり押し、札束で言いなりに…不正ローンの利用者が告白

有料記事フラット35の闇

藤田知也
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 長期固定金利の住宅ローン「フラット35」をマンション投資に悪用する不正が続いている。一昨年に多くの不正事例が発覚し、金融機関は審査を強化したはずだが、その後も後を絶たない。不正に手を染めた利用者たちが重い口を開いて明かす、その実態とは――。

 新型コロナ禍による最初の緊急事態宣言が明けた後の、昨年夏。フラット35を仲介する金融機関の首都圏の支店で、独身の20代男性は、差し出された融資の契約書にサインした。「投資目的には使わない」。そう約束する文言が引っかかったが、「もう後戻りはできない」という気持ちに負けた。それが、フラット35の不正利用者になった瞬間だった。

 きっかけは昨年初め。学生時代の仲間から「将来の不安はないか」「話だけでも聞くといい」と不動産投資を勧められ、ファミレスでブローカーに引き合わせられた。

 当時の年収は約400万円。投資話が気になったものの、最初は少し距離を置こうと思っていた。ただ、押しに弱いタイプ。ブローカーの男性は「不動産を買えば家賃収入が得られる」「ローンを払い終われば不労所得ができる」などと話し、つい引き込まれた。「本当に入居者がつくのか?」ときくと、「心配はいらない」「何もしなくていい」「全部フォローする」とたたみかけられた。

 新車のローンが200万円ほどあったが、ブローカーの男は札束を持ってきて銀行で払い込み、ローンを完済してくれた。不動産投資を断りにくい流れが、できていった。

 2千万円超の物件を買うことが決まり、融資契約が近づくと、「住民票はしばらく移して」「免許の住所も書き換えて」と、おかしな指示が増えた。融資契約の日は、まずファミレスで何枚かの紙にサイン。「投資とは絶対に言わず、自分で住むと堂々と言って」。そう念押しされ、金融機関の支店へと連れて行かれた。

 男性はこう振り返る…

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