第2回沿岸163キロ、春まだ遠く コロナで苦境の三陸鉄道

有料記事三陸鉄道の10年

藤谷和広 編集委員・伊藤裕香子

 10年前の津波で破壊され、橋脚だけが残った岩手県宮古市の閉伊(へい)川にかかる橋で1分間、三陸鉄道の「感謝のリレー列車」が止まった。

 11日の午後2時46分。ポワーン、と警笛が4秒ほど響く。立ち上がった30人弱の乗客は海側に向かって、頭を下げた。

 あの日から8年を経てつながった岩手県沿岸163キロのリアス線を、4時間半かけて走る特別列車。「大切な人に想いを寄せて」と書かれた列車内では、駅長ら5人の社員が交代で当時を語った。堤防や防潮堤に遮られながら、車窓の向こうには濃い青い海と雲一つない水色の空が広がる。

 中村一郎社長も「全国の皆さんの支援、つながりでここまで復興することができました。改めて多くの皆さんとのつながりをこれからも大事にしながら、この鉄道、三陸地域に少しでも貢献できるように頑張ってまいりたい」とあいさつした。

 客の半数以上は県外から。毎…

この記事は有料記事です。残り948文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
藤谷和広
くらし報道部|厚生労働省担当
専門・関心分野
災害、民主主義
伊藤裕香子
編集委員
専門・関心分野
税財政、くらしと消費、地方経済

連載三陸鉄道の10年(全3回)

この連載の一覧を見る