ひとり親世帯に「プペル」届けたい 西野亮廣さんも協力

杉原里美
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 25日から公開される映画「えんとつ町のプペル」の原作絵本を、ひとり親家庭の子どもに届けるプロジェクトが進んでいる。「会えない父親のことを思い出してほしい」と、1人の女性がクラウドファンディング(CF)を立ち上げた。

 CFを企画したのは、離婚や別居で子どもと会えない父親の団体や、ひとり親家庭の支援団体でボランティアをしている東京都新宿区の会社員、尾崎瑠美さん。4年前、61万部のベストセラーとなった絵本「えんとつ町のプペル」(幻冬舎)に出合った。煙だらけのえんとつ町に住む男の子が「ゴミ人間」プペルと交流し、プペルに亡くなった父親の面影を見つけるという物語だ。

 尾崎さんは2年前から、外国人を含む別居親の支援に関わるようになった。裁判で面会交流を取り決めても、元配偶者の意向で子どもと会えない人が多く、苦しんでいた。悲観して自死した父親もいる。

 映画化を機に絵本を読み直した。プペルが、つらい父親たちの姿と重なった。「プペルはいじめられても、えんとつ町の煙の中にいる。子どもと出会うためにあきらめない」

 母子家庭の友人に勧めると、彼女は泣きながら読んだ。「自分が元夫を嫌いだから子どもに会わせたくないと思っていたけど、子どもの気持ちを考えていなかった」と話し、父子の2年ぶりの再会につながったという。

 パパに会いたいという子どもが、ほかにもいるかもしれない――。ボランティアで関わっているひとり親支援団体「ハートフルファミリー」を通じて、3200世帯5400人の子どもに絵本を贈ろうと考えた。

 10月末、幻冬舎の担当編集者に連絡し、絵本の購入について相談したところ、「えんとつ町のブペル」の絵と文を監督した西野亮廣さんが映画チケット5400枚をプレゼントしてくれることになった。

 絵本購入と送付に必要な資金のうち、不足する分はCFで集めることにした。目標額は1350万円。西野さんのファンを中心に、23日現在で約520万円が集まっている。絵本は尾崎さんが3200世帯分を購入し、映画チケットを同封して18日に発送した。詳細は(https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/2275別ウインドウで開きます)。

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この記事を書いた人
杉原里美
さいたま総局|県政・教育担当
専門・関心分野
家族政策、司法のジェンダー、少子社会、教育