専門家集結「ライチョウ本の決定版」、12月発売

近藤幸夫
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 国の特別天然記念物で絶滅の恐れがあるライチョウの生態と保護の最新情報をまとめた「神の鳥ライチョウの生態と保全」(緑書房刊)が、12月11日に発売される。執筆したのは環境省や大学、動物園などで保護に取り組む専門家約70人。カラー写真がふんだんに掲載され、ライチョウの魅力が伝わる内容だ。

 ライチョウは北アルプスや火打山(新潟県)など本州中部の高山のみに生息する絶滅危惧種で、長野、岐阜、富山の県鳥に指定されている。1980年代に約3千羽と推測された生息数は、最近では約1700羽まで減少し、危機的な状況となっている。

 このため、環境省は2015年から保護増殖事業を開始。動物園での人工飼育などのほか、今年は、半世紀前に絶滅したとされる中央アルプスに北アルプス・乗鞍岳から3家族19羽を移送。来春の繁殖を目指す「復活作戦」に挑んでいる。

 7、8両日に岐阜市で開かれた「第19回ライチョウ会議ぎふ大会」の実行委員長を務めた、岐阜大の楠田哲士准教授(動物保全繁殖学・動物園学)が同書を編集。「大会開催を契機にライチョウ本の決定版を作りたい」と、全国の研究者に声をかけて出版にこぎ着けた。

 本では、「神の鳥」とあがめられ、豊かな日本の自然を象徴する存在から説き起こす日本人とのかかわりや、高山での生態を解説。動物園での人工飼育や、生息地でケージを使った保護方法に加え、「現在進行形」の中央アルプスの復活作戦についてもイラストやセンサーカメラ映像などを使って紹介している。

 復活作戦の指揮を執る中村浩志・信州大名誉教授は「ライチョウを、その生息環境である日本の高山の貴重な自然とともに次世代に残すため、この本を多くの人に読んでほしい」と話す。288ページ、オールカラーで4800円(税別)。問い合わせは緑書房(03・6833・0560)へ。

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 絶滅の恐れがある国の特別天然記念物・ライチョウを観察するためのルールやマナーを知ってもらおうと、環境省が「ライチョウ観察ルールハンドブック」を作成した。登山者や観光客らにライチョウの生態を正しく知ってもらい、さらなる保護につなげたい考えだ。

 北アルプスなど本州中部の高山に生息するライチョウは、山岳ガイドが観察ツアーを実施するきっかけになるなど、観光資源としての側面もある。ただ、大勢の人たちがルールを知らずに観察すると、繁殖などに悪影響を与える恐れがある。このため、保護に取り組む環境省が、訪日外国人を含む全ての高山利用者の指針にしてもらおうと、ガイドブックを作成することにした。

 「ライチョウと距離を取って、そっと見守る」「登山道から外れない」などの基本ルールのほか、四季に応じて生息場所を変えるライチョウの生態などを解説。とはいえ、見つけるのは簡単ではなく、ライチョウ探しのコツとして①鳴き声②生活痕(ふん)③現れやすい時間帯(早朝、夕方)なども盛り込んだ。

 執筆者で同省野生生物課の福田真さんは「ハンドブックを通じてライチョウを見に山に来てほしい。それをきっかけに地域が元気になれば」と話す。同省中部山岳国立公園管理事務所(0263・94・2024)が先着100人に配布中。同じ内容を日本アルプスガイドセンターのサイトでも見られる。

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