コロナ重症化招く「免疫の暴走」、阪大などが端緒を解明

有料記事

瀬川茂子
[PR]

 新型コロナウイルス感染症の重症化には、免疫が暴走する「サイトカインストーム」がかかわることが報告されている。大阪大学などの研究チームは「PAI1」というたんぱく質が血液中に増えることが、サイトカインストームの引き金になることをつきとめ、米科学アカデミー紀要に発表した。治療法の開発につなげることを目指す。

 サイトカインは、細胞から分泌されるたんぱく質で、さまざまな働きを持つ。何らかの理由でサイトカインが増えすぎると、免疫が暴走し、正常な細胞が傷ついてしまう。新型コロナのほか、細菌感染による敗血症や重症のやけどなどでも起こる。

 そこで研究チームは、これらの患者91人と、健康な人36人の血液を調べた。すると、サイトカインストームが起きた患者では、「PAI1」が増えていることがわかった。これは、血管中に血栓(血の塊)をできやすくする働きがあるたんぱく質だ。

 重症の新型コロナ患者7人でもPAI1が増え、全身の炎症を示す数値があがっていた。血栓ができると、血管が傷ついて血液成分がもれだし、免疫が過剰に働いて、全身の炎症などを起こすと考えられるという。

 研究チームはヒトの血管細胞…

この記事は有料記事です。残り386文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
瀬川茂子
科学みらい部|大阪駐在
専門・関心分野
生命科学、災害、科学全般