福岡)学校再開、現場の模索続く 北九州市立学校

城真弓
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休校していた北九州市立学校が25日、再開した。休校中に卒業式や始業式はあったが本格的な授業再開は約3カ月ぶりだ。6月からは給食も始まる。感染防止対策を徹底しながら学校現場で模索が続く。

 再開したのは市立小学校129校、中学校62校、特別支援学校7校、市立高校などだ。

 八幡西区の折尾東小学校(児童326人)では登校時、フェースシールドとマスクで顔を覆った教員が、児童の体温や体調を記入した健康チェックリストを一人ひとり確認した。廊下の床には間隔を空けて並ぶための目印が貼られた。教室の出入り口も指定し動線を一方通行にしたほか、席を1メートル以上離して授業をした。

 感染予防対策を学ぶ授業もあり、5年生の女子児童(10)は「友達と会えることを一番楽しみにしていた。話すのにも距離をとって大変だけど、感染しないことが大事なので楽しく過ごしながらルールを守りたい」と話した。松本拓士校長は「まずは子どもたちが安全安心に学校へ来られる環境作りをしていきたい」と述べた。

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 これから学校をどう運営していくのか。各校は国や市教委のマニュアルなどに沿って感染防止策を講じるが、学校ごとの事情があって現場は揺れている。

 市教委は再開に際し、校内の定期消毒などを担う学校業務補助員を6月末まで各学校に1人ずつ配置した。また国のガイドラインなどを基に防止策を示している。

 だが学校の規模や施設の状況などによって事情は異なる。「柔軟な対応が必要で最後は学校長の判断」(市教委)と対応は現場に委ねられている。その現場は経験したことのないウイルスを相手に戸惑う。

 千人超の児童を抱える市内のある小学校は25日、登校時にマニュアルに示されたチェックリストを使わなかった。児童をクラス単位で時間差で登校させ、非接触型の体温計で瞬時に検温するなどした。人数が多いため、一人ずつ呼び止めて健康状況を確認するチェックリスト方式だと時間がかかり、「密」が生じるおそれがあるためだ。校長は「マニュアル通りにするより、学校に合ったより良い方法を考えた。試行錯誤しながらになると思う」と述べた。

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 再開前の分散登校でも一部の学校で混乱があった。初日の5月18日、八幡西区の市立中学校では200人を超える生徒を体育館に集めた。保護者からの指摘を受け、翌日から集合場所を教室に変えた。

 同校によると体育館に集めたのは3年生で、1時間半にわたり再開後の学校生活を説明したという。窓を開けて換気し、生徒同士の距離を2メートル空けたが、同校生徒の母親は「密を避けようという状況の中で信じられない」と話す。市教委の担当者は「もう少し丁寧に対応するべきだった」と指摘する。

 校長は取材に「校舎が古く、玄関や廊下が狭い。200人を超える生徒が同じ動線で教室に向かうと玄関や廊下で3密になると判断した」と説明する。教職員で検討し、屋外を通って行ける体育館の方がリスクが低いと考えたという。「教師目線の考えだったと反省している。距離をとっていたとはいえ生徒が密だと感じ、不安に思ったのなら申し訳ない」と話す。

 翌19日、登校した2年生は各教室に集めた。20日の1年生は午前と午後に分けて登校させた。

 市教委はこの件を受け、集会の人数について規定を設けた。今月中は80人以下とし、6月1日以降は200人以下、8日からは制限を設けない予定だ。(城真弓)

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 筑豊地区でも飯塚市の市立小中学校で25日、午前中だけの授業が始まった。給食のある通常授業は6月1日に再開する見通しだ。市は、体温を測るサーマルカメラをすでに各校に配っている。消毒用の次亜塩素酸水の噴霧器も6月に配る。

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