BCGワクチン、コロナ死亡率と相関性? 学会は非推奨
結核予防のためのBCGワクチンを接種していると、新型コロナウイルスの感染率や死亡率が低いのではないか――。そんな仮説を研究者たちが提唱している。接種している国では感染者数や死者数が少ない傾向にあるためだ。ただ、科学的に予防効果は確認されておらず、世界保健機関(WHO)は12日、現時点では推奨しないとする見解を示した。
BCGワクチンは結核菌を弱毒化させた生ワクチンだ。腕に残る痕から「はんこ注射」とも呼ばれる。約100年前に仏パスツール研究所で開発され、接種している国としていない国、州によって違う国、接種を中止した国がある。子どもの結核を防ぐ効果は専門家の間で合意が得られているが、大人への効果はまだ議論があるためだ。
米ニューヨーク工科大の研究者らは3月末、各国の3月21日時点での新型コロナウイルスの感染者数や死者数の人口比と、BCGワクチンの接種状況を比べ、米研究機関などが運営する論文投稿サイトで論文を発表した。論文によると、感染率や死亡率は、接種していないイタリアやベルギー、米国などで接種している国々よりも統計学的に有意に高かった。論文は「BCGワクチンが新型コロナウイルスに対する防御を与えているのかもしれない」と結論づけた。
一部の国で臨床試験へ
藤田医科大の宮川剛教授らも4月6日、同じサイトに論文を発表。平均寿命や今年2~3月の気温の影響を加味しても、BCGワクチンを今も接種している国は、これまで接種の仕組みがなかった国や接種をやめた国より、3月28日時点の感染率や死亡率が低い傾向にあった。日本は接種している国のなかでも感染率、死亡率はともに低かった。
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