山梨)特別天然記念物ライチョウの「ケージ保護」とは?

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河合博司
【動画】南ア北岳周辺のライチョウ ケージ保護で生息数回復=河合博司撮影
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 今夏、南アルプスの北岳(3193メートル)周辺で、国の特別天然記念物ライチョウを絶滅の危機から救う「ケージ保護」が展開された。ヒナが死ぬ確率が高い生後1カ月まで、子育て中のライチョウ家族を昼は放し飼いにし、夜は小屋に収容する取り組みだ。

 環境省のライチョウ保護増殖事業で、信州大の中村浩志名誉教授(71)が北岳では2015年から始めた。日中はライチョウを稜線(りょうせん)に放ち、夜は約3メートル四方の小屋で保護する。生後1カ月までのヒナは凍死や天敵に襲われて死ぬ確率が高く、その期間を人がつきっきりで守るのだ。人なつこいライチョウだからこそできる保護策とされる。

 北岳周辺の小太郎山から農鳥岳に続く約10キロの稜線を中村名誉教授が継続して調べたところ、1981年には63つがいを確認できた。しかし、36年後の17年に確認できたのはたった16つがい。「かつては稜線のいたるところにライチョウがいたのに」と中村名誉教授は嘆く。

 減った原因は、00年ごろか…

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