(10月31日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「オヤジギャル」「老人力」「倍返し」……。平成の約30年間、さまざまな新語が現れては消えていきましたが、すっかり定着して新たな表現が派生したものもあります。

 例えば「セクシャル(セクシュアル)・ハラスメント」。これが「新語・流行語大賞」の新語部門で金賞に選ばれたのは、1989(平成元)年のことです。80年代初頭には一部でしか知られていませんでしたが、平成に入って「セクハラ」という略語とともに広まりました。「セクハラ」はその後、「アルハラ(アルコールハラスメント)」や「パワハラ(パワーハラスメント)」などを生むほど世間に浸透しました。

 ある言葉が略語になって一般化すると、応用して新しい複合語をつくることもあります。

 例えば、90年代後半から目立つようになった「就活(就職活動)」。その「活」という要素をもとに、「婚活」「終活」などの言葉がつくられました。これらの「活」は、「活動」の略語というよりも、「活」だけで別の略語と結びついて新たな複合語をつくる独立した要素になっています。漢字は1字だけでも意味をくみ取ることが容易なため、ますますその傾向に拍車がかかったと考えられます。