(2月13日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 2025年の大阪・関西万博の会場となる「夢洲」。大阪湾沿岸にある人工島の愛称で、「ゆめしま」と読みます。東京都の豊洲や福岡県の中洲など「ス」と読む地名が多いためか、夢洲を「ゆめす」と読んでしまう、という声がありました。難読なので紙面ではおおむねルビをつけています。

 1991年に舞洲(まいしま)、咲洲(さきしま)とともに一般公募で名付けられた夢洲。応募者は「洲」を「シマ」と読んだ理由を示していませんでした。当時の選考委員会のメンバーで、元広告会社員の鞍井(くらい)修一さんは「読みは選考で話題にのぼらなかった」。同じくメンバーで、旅行家の五十嵐道子さんは「人工島の愛称募集だったこともありシマと読んで違和感はなかった」と話します。

 「土砂が堆積(たいせき)して陸地のようになり、水面から出ている所」(大辞林)を指す「洲」。一般的に「シマ」と読みませんが、日本の国の古称である「大八洲(おおやしま)」など「土地・国」の意味で「シマ」が使われる例があります。日本地名研究所の菊地恒雄さんは「これを念頭に応募者は『シマ』と読ませたのでは」と推測します。

 埋め立て地を見ると、東京都の「夢の島」や「平和島」など島が目立ち、神戸市の「ポートアイランド」や福岡市の「アイランドシティ」といった片仮名の愛称も定着しています。