(10月24日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 平成が終わろうとしています。この約30年間にさまざまな新しいことばが生まれ、従来のことばも変化してきました。3回にわたり、「平成の日本語」を振り返ります。初回は、変容した方言について見てみます。

 哀願する場合に「おねげえしますだ」、ツッコミを入れるときは「なんでやねん」、豪快な印象を与えたいなら「ごちそうでごわす」……。

 近年、若い世代を中心に、いかにも方言らしい表現で場面に応じたキャラクターを演じ分ける手法がしばしば見られます。田中ゆかり・日本大教授のいう「方言コスプレ」です。

 方言は「標準的でない」として、教育現場では直すべきものとされた時期もありました。ところが昭和後期から平成にかけて、次第に「面白い」「かわいい」と見なされるようになりました。方言コスプレは、その風潮の中で生まれました。