(2月15日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「高齢者は75歳以上」とする日本老年学会と日本老年医学会の提言が1月、発表されました。このなかで「65~74歳は准高齢者」との区分も示されました。なぜ「准」なのでしょう。

 「高齢者に準じるという意味なら『準高齢者』が素直な表記ではないか」。校閲センター内でこんな意見が出ました。

 提言によれば、「高齢者、特に前期高齢者(65~74歳)の人々は、まだまだ若く活動的な人が多く」「65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっている」などとして、前期高齢者を「高齢者の準備期」と位置づけ、「准高齢者」と名付けたといいます。

 「准」も「準」も「ジュン」と発音し、意味は「なぞらえる」「次ぐ」などほぼ同じ。常用漢字表にも両方が掲げられ別字のように扱われていますが、「大漢和辞典」などいくつかの漢和辞典を見ると、本来は、「准」は「準」の俗字です。

 朝日新聞の用語取り決め集ではこれらの使い分けに関して、「准」には「意味は準と同じ。地位・資格に多く使われる」との解説を付けています。