(1月20日付朝刊に掲載した「ことばの広場」を再録しました)

 「半端ない」。程度がはなはだしいことを表す「半端ではない」を短くした言い方です。最近よく耳にします。

 この「半端ない」は、本紙の天声人語に過去2度登場します。最初は2012年、この年の文化庁の国語世論調査を取り上げ、日常会話で「半端ない」を使う人が2割強あり、「16~19歳では6割以上が使っている」と紹介、「遠からず定着と相成るのだろう」。15年にも「日本人は本当に略語が好きだ」と「半端ない」を例示し、「更につづめて『パネェ』と言っている人も、今や珍しくない」と指摘しています。

 調査を担当した文化庁国語課を訪ねました。若者の話し言葉の「半端ない」が書き言葉になり始めたのは00年ごろだそうです。担当者が国立国語研究所のデータベースを検索したところ、01年出版の雑誌に現れ、08年には多くのブログで目につくようになります。さらに11年にネット検索すると1030万件ヒットし、「表記習慣になりつつある」と判断して調査することにしたそうです。