2016年11月30日16時42分
2016年11月30日16時42分
初めて仲卸のならぶ通路を歩いた日、どこまでも続く看板に目を奪われた。間口2メートルに満たない店でも、看板はどでかく、漢字2、3文字の屋号が筆太に記してある。時代劇の映画のセットに迷いこんだ気がした。
そんな風景も当たり前になってきたころ、屋号が語りかけるものが見えてきた。
わが銀鱗文庫の会長の店は「神奈辰」である。ご先祖さまの言い伝えによると、江戸の終わりに一族郎党、神奈川県小安から桁船で江戸深川に移住。日本橋魚河岸で働き始めた。
宮崎県生まれ。婦人画報社の編集者を経てフリーランスに。ファッション誌や料理本などを手がける。1998年、築地市場の水産仲卸「濱長」のチラシ作りを頼まれたことをきっかけに同店で働き始める。2010年から築地市場の文化団体「築地魚市場銀鱗会」の事務局長。著書に『築地魚河岸 寿司ダネ手帖』、編著に『向田邦子の手料理』など。