2017年3月3日15時44分
2017年3月3日15時44分
銀鱗文庫には、たまにルーツ探しの方がお見えになる。「おふくろのじいさんが仲買だったというので」と、ご先祖様が河岸で生きた証しを求めていらっしゃるのだ。
そんなおり、重宝するのが「問屋名簿」だ。もっとも古いものは関東大震災直後の1924(大正13)年製。100年近く前のものだから、はがきサイズのペラペラ紙に、イロハ順で屋号が印刷してあるだけだが、この世にはふたつとない貴重な品だ。
もう一つ、自慢のお宝名簿は、1935(昭和10)年、中央卸売市場開場直前のもので、舶来の分厚いノートに屋号、当主名と住所まで手書きで記してある。
宮崎県生まれ。婦人画報社の編集者を経てフリーランスに。ファッション誌や料理本などを手がける。1998年、築地市場の水産仲卸「濱長」のチラシ作りを頼まれたことをきっかけに同店で働き始める。2010年から築地市場の文化団体「築地魚市場銀鱗会」の事務局長。著書に『築地魚河岸 寿司ダネ手帖』、編著に『向田邦子の手料理』など。