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 銀鱗文庫には、たまにルーツ探しの方がお見えになる。「おふくろのじいさんが仲買だったというので」と、ご先祖様が河岸で生きた証しを求めていらっしゃるのだ。

 そんなおり、重宝するのが「問屋名簿」だ。もっとも古いものは関東大震災直後の1924(大正13)年製。100年近く前のものだから、はがきサイズのペラペラ紙に、イロハ順で屋号が印刷してあるだけだが、この世にはふたつとない貴重な品だ。

 もう一つ、自慢のお宝名簿は、1935(昭和10)年、中央卸売市場開場直前のもので、舶来の分厚いノートに屋号、当主名と住所まで手書きで記してある。