あれ、もうかってしまう? 大盛況のMEGA BIGで起きた珍事

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大牟田透
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 「宝くじの日」の9月2日、マニアを大興奮させたスポーツくじの結果発表があった。注目されたのは、年末ジャンボの「10億円」を上回る「1等賞金最高12億円」を売りにするサッカーくじ「MEGA BIG」(メガビッグ)。売値が1口300円なのに、購入1口あたりの賞金の期待値(受け取れる額の平均)が300円を超えるという、極めてまれな状況が起きていたからだ。売り上げは過去最高を記録し、7千万円以上をつぎ込んだとして照合の様子をネットで実況中継する人も現れた。大騒ぎはなぜ起き、どんな結末を迎えたのだろうか。

 MEGA BIGは指定の12試合について、それぞれ両チームの合計得点が「1点以下」「2点」「3点」「4点以上」のいずれになるかを当てる。全部当たれば1等、1試合外れが2等、2試合外れが3等……と、5試合外れの6等まである。ただ、自分で予想して買うことはできず、コンピューターが1~4の数字を12試合分割り当てるので、実質は運任せの宝くじだ。4の12乗(4を12回掛けた数)通りの組み合わせがあり、どの組み合わせも等しい確率で売られるならば、1等当せん確率は理論上、1677万7216分の1ということになる。

売値より高い期待値 過去最高の売り上げに

 注目を集めたのは、8月24~31日に販売された第1476回のMEGA BIG。1等の繰り越し賞金(キャリーオーバー)が12億円の5口分に近い58億円以上に達しており、これは過去2番目に多かった。

 加えて、台風10号で指定試合(8月31日と9月1日に開催)の一部が中止になると予想されていた。5試合以上が中止になると、くじ自体が不成立になるが、4試合までであれば成立する。しかも、中止になった試合は、1~4のどれでも当たりと判定される。つまり、1試合中止になるごとに当せん確率は4倍になるので、4試合中止ならば1等当せん確率は6万5536(4の8乗)分の1と、普段の256倍に跳ね上がる。

 キャリーオーバーが膨らんでいる上に、試合中止による当せん確率急上昇も見込めるとあって、気づいた人たちがネットでの購入やtoto売り場に殺到した。売り上げは過去最高の47億1326万円と、昨年度の平均6億1880万円の7.6倍にも達した。

4試合が中止 普段の256倍当たりやすく

 そして、実際に4試合が中止になった。「全財産7350万円を投じた」とSNSで明かす「大学生投資家」の男性も登場。「購入が非常に多く、システムでの集計に時間がかかった」(主催の日本スポーツ振興センター)として、結果発表は1日遅れの9月2日になった。その結果と照合する、この男性のYouTube実況中継は、一時2万人以上が見つめた。

 結果は――。

 男性は「24万5千口の購入で、1等が8口当たった」と報告した。スポーツ振興センターによると、同センターの公式サイトだと1回10口、銀行口座からの購入でも1回に最大999口までしか買えないので、少なくとも246回以上、購入作業を繰り返したことになる。SNSを通じて取材を申し込んだが、まだ返答は得られていない。

狙い通り? 幸運に恵まれた?

「1等が8口」というのは、狙い通りの結果だったのでしょうか。それとも、めったにないことが起きたのでしょうか。平均すればもうかると言っても、人数で言えば損をする人のほうがずっと多い。仮に自分にお金があったとしても、こんな大勝負をかける勇気はとてもありません……。なお、9月2日に発行したGLOBE第310号「宝くじと人間」では、米バージニア州で過去にあった「全部買い」作戦など、宝くじにまつわるあれこれを特集しています。ぜひご覧下さい。

 大勢が買ったため、1等は2…

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