海岸も隆起、孤立続く集落 「風呂にはいれず」 珠洲市・片岩
石川県北部の海岸沿いにある珠洲市片岩地区は、地震発生から2週間を迎えるが孤立状態が続く。自衛隊や消防、自治体の支援物資は届くものの、「31日から風呂に入れていない」と話し、長引く避難生活に疲れを見せる被災者もいた。
海岸沿いは地震のために隆起。100メートル以上海岸線が遠のいた部分もある。
避難生活を送る人たちはほとんどが高齢者で、電気や水道が断たれた場所で暮らしている。携帯電話の電波も一つのキャリアのみ通じるだけで、他は圏外だ。
地震前はサザエの集荷場だった小屋の前には発電機が設置され、住民が携帯電話を充電していた。片岩区長の男性は「インフラがだめになって、地区が孤立している感じがする」と話した。
住民によると、3日には自衛隊から援助物資が届くようになった。現在は、定期的に自衛隊や、地区の消防団、自治体が物資を運んでいる。区長は「自衛隊や地区の消防団には、ひっどい(とても)世話になっている。いま何とかなっているのもみんなのおかげ。来てくれる度に不安が和らぐんだ」と感謝を口にした。
一方、長引く避難生活について、区長は「とにかく電気だけでも復旧して欲しい」と話す。「水はわき水で食器を洗ったりしてなんとかやりすごせている。でも、この生活が続くと衛生面が心配」
この日、地区外の旅館へ住民を避難させる準備の説明が、市からあったという。区長が住民に意見を聞いて回ったところ、自宅で避難を続けたい意見と半々に分かれた。住民からは、「ずっと暮らしている片岩を離れたくない」「避難でこれ以上つらい思いをしたくない」「電気がなくても暮らせている」という意見も出たという。
区長は「もっとひどい被害を受けた地区を知っている。だから、家に居られるだけでも幸せだと思っている」と話した。
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