将来の夢、かなった後が大変だよ 子どもたちに伝えたい

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笠井正基 聞き手・稲垣直人 聞き手・桜井泉 聞き手・笠井正基
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 大人になったらなりたいものに「会社員」と答える小学生が目立っています。影響として考えられるのが、コロナ禍。在宅勤務となった親の姿を間近に見た影響や現実志向の高まりが指摘されています。子どもたちの「夢」の変遷と今後の行方を考えてみました。

 第一生命保険の「大人になったらなりたいもの」の調査は1989年に始まりました。これまでの対象は保育園・幼稚園と小学1~6年生でした。

 過去の調査をみると、男子は野球選手とサッカー選手が1、2位を占める年が大半です。「世界大会で活躍する日本選手が次々と現れていることも憧れの職業となる一因では」と同社。2002年と17年の1位は学者・博士。「日本人のノーベル賞受賞が影響したのでは」と担当者はいいます。女子は、食べ物屋さんやパティシエなど、食べ物に関連した職業が97年以降、トップを維持しています。同社は「スイーツブームや、SNSが浸透して家族でインスタ映えなどを楽しむ影響では」と分析しています。

 会社員は昨年、男子の1位、女子の4位に初めて入りました。在宅勤務の増加に加えて、昨年から調査対象が小学3年生以上に限定されたことが影響したのかもしれません。

 海洋冒険家白石康次郎さんは、夢が会社員であっても「子どもたちが自分の頭で考えて職業を選んでいるなら問題ない」と語り、男子の2位にユーチューバーが入った点をとらえて「(夢の)二極化」と分析しました。コロナ禍は、子どもの「夢」のあり方を変える分岐点になるのでしょうか。(笠井正基)

夢のプロ入りは40歳、年俸10円だった 安彦考真さん(元Jリーガー・格闘家)

 僕は、小学校の卒業アルバムに「サッカー選手になりたい」と書きました。しかしプロになる夢がかなったのは「おっさん」になってから。28年後の40歳の時でした。

 高校を卒業後、ブラジルにサッカー留学しましたが、右ひざの大けがで現地のプロ入りは断念。帰国後の20代は、Jリーグの入団テストを受けるも不合格。J2大宮アルディージャの通訳、サッカー指導に関わる仕事などをしていましたが、今から4年前、「自分で自分の人生にウソをつきたくない」と仕事を辞め、再びプロを目指しました。そのとき39歳でした。

記事後半では、「子どもの本音は別」と言う漫画家の東村アキコさんや、商社をやめてユーチューバーになった長内孝平さんのインタビューも。

 当時の仕事で約1千万円の収…

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