嘔吐続き繰り返し受診、死因未判明 入管施設収容の女性

伊藤和也

 強制退去処分を受けたスリランカ国籍の30代の女性が3月、収容先の施設で死亡したことを受け、出入国在留管理庁は9日、死亡に至る経緯をまとめた調査の中間報告を公表した。女性は1月から嘔吐(おうと)するなど体調を崩し、たびたび医師の診察を受けていたという。死因は判明しておらず、司法解剖後の詳しい鑑定が進められているといい、入管庁はその結果を踏まえ最終報告を取りまとめる方針。

 入管庁によると、女性は2017年6月に留学の在留資格で入国後、通学せずに就労。昨年8月、不法残留により強制退去処分となり、名古屋出入国在留管理局の施設に収容された。当初は帰国を望んでいたが、12月から日本人の支援者と面会を重ねるなかで、日本にとどまりたいと希望するようになったという。

 今年1月中旬以降、嘔吐や体のしびれが続くなどし、施設の診療室と外部の病院を繰り返し受診。胃カメラ検査の結果はほぼ正常で、しびれについては異常は確認されなかった。施設で出る給食のほか自分で買った菓子類やジュースなどの飲食はできる状態だったものの、処方薬の服用をたびたび拒否し、2月上旬からはトイレやシャワーの際に施設職員の介助を受けることが増えていったという。

 ストレスによる自律神経の崩れを疑った診療室の医師の指示で、外部の病院の精神科を3月4日に受診し、頭部CT検査の結果、異常なしと診断。抗精神病薬を処方され、服用を始めた。6日昼ごろからベッドに横になったまま次第に動かなくなり、午後3時25分ごろ、搬送先の病院で死亡が確認されたという。

 上川陽子法相は9日の記者会見で、今回の中間経過について「医療的な対応の中で死亡に至った事案で、客観的な事実関係を早期に示すことが重要と考えた」と説明。「(施設側の)対応状況の適否などは死因について一定の結論を得た上で判断することが適切と認識している」と述べた…

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【春トク】締め切り迫る!記事が読み放題!スタンダードコース2カ月間月額100円!詳しくはこちら