色気と陶酔、希代の東京役者 中村吉右衛門さんを悼む 早稲田大教授・児玉竜一

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 中村吉右衛門の舞台には、つねに陶酔と色気があった。

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 深い内面性を湛(たた)えた重厚な押し出しに加えて、陶酔の源泉は口跡のみごとさにあった。声音そのものが観客を酔わせたのである。その点では、近年の歌舞伎の歴史をさかのぼってみても、実父八代目松本幸四郎の世代を凌駕(りょうが)して、実の祖父であり養父…

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