(書評)『霧の彼方 須賀敦子』 若松英輔〈著〉

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 ■精神性を求め実践した人の信仰

 人間の精神を表現する媒体として、現代日本語がどれほど適しているかわからない。しかし、もし須賀敦子という存在がなければ、その射程と奥行きはだいぶ違ったものになったであろう。とはいえ、私たちの知っている須賀のイメージは、『ミラノ 霧の風景』による晩年の鮮烈な「デビュー…

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