楽しい酒のような、それでいて、どこかさみしげなような。井伏鱒二に、こんな詩がある。〈今宵(こよい)は仲秋明月/初恋を偲(しの)ぶ夜/われら万障くりあはせ/よしの屋で独り酒をのむ〉。友と一緒なのか、あるいは独り酒なのか。不思議な味わいである▼いずれにせよ酒は手酌で飲んでいるのだろうと、勝手に想像する…
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