消費減税で立憲も割れる? 鬼門を前に、野田氏は枝野氏と手を組んだ
立憲民主党は11日、夏の参院選の公約づくりに向け、消費税の扱いを含めた議論に着手した。野田佳彦代表は消費減税に慎重だが、党内の減税派が勢いづき、検討課題に挙げざるを得なくなった。党内政局に発展する懸念も出る中、枝野幸男・元代表も野田氏側について減税論の火消しに加わる構図となっている。
減税派、財政規律派の双方の立憲議員約50人が参加した政調会合。党の財政政策の責任者、階猛衆院議員は「消費税について党内で色んな意見が乱立している状況は好ましくない。よく整理し、あるべき方向を見いだしたい」と訴えた。ただ、討議では「現下の状況では減税だ」「消費税は社会保障の財源であり、減税を安易に言うべきではない」と意見が割れた。来週以降も議論を続ける。
支持率が伸び悩む立憲内では、消費減税を目玉政策に掲げて局面打開を図るべきだとの声が強まっている。もともと物価高対策として語られてきたが、トランプ米大統領の高関税政策を受けてさらに勢いを増してきた。
江田憲司・元代表代行が会長の議員グループは10日、飲食料品の消費税「ゼロ%」の実現を求める提言を野田氏に提出する方針を確認。末松義規・元復興副大臣が率いる別のグループも11日、時限的な消費税率5%への引き下げを求める提言案をまとめた。両グループに参加する議員は党全体の3割超。党外に目を向けても、日本維新の会や国民民主党、共産党、れいわ新選組などほとんどの野党が消費減税を主張している。
枝野氏が野田氏に語りかけた一言
これに対し、野田氏は消費減税に極めて慎重だ。民主党政権の首相だった2012年、「税と社会保障の一体改革」を掲げ、消費税率10%への段階的引き上げで当時、野党の自民、公明両党と合意した当事者だ。11日の会見では「虚心坦懐(たんかい)に党内の議論を見守りたい。私の意見を言う段階ではない」と述べるにとどめた。
野田氏が慎重に言葉を選ぶのは、「この局面での判断が命取りになりかねない」(野田氏周辺)との警戒感が広がっているためだ。消費税論議は、12年の民主党政権の分裂と下野を招いた「鬼門」で、当時を知る議員たちにとってはトラウマでもある。
そんな中、昨秋の代表選で決選投票まで争った枝野氏が10日、国会内で野田氏に「ぶれないでください。ぶれなければ支え続けます」と伝えた。野田氏は「大丈夫」と応じたという。2人は、代表選で税金控除と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入をそろって主張。消費減税に慎重な立場をとっていた。
枝野氏との共同歩調で後ろ盾を得ることになった野田氏だが、党内対立の落とし所を見いだせているわけではない。対応を誤ればかつてのような党分裂の悪夢もよぎる。党内からは「給付付き税額控除を『消費税キャッシュバック制度』と名付け、事実上の消費減税とするしかないのでは」(若手)との声も出ている。
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