最高裁長官が異例の声明、トランプ氏に苦言 判事への個人攻撃に反論

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ワシントン=高野遼

 不法移民強制送還をめぐって裁判官を「弾劾(だんがい)されるべきだ」と批判したトランプ米大統領の言動について、米連邦最高裁のロバーツ長官は18日、弾劾を否定する声明を出した。トランプ氏は自らに異論を差し挟む判事らを公然と批判してきたが、最高裁長官が苦言を呈する異例の展開となった。

 トランプ政権は15日、1798年に制定された「敵性外国人法」を発動させ、ベネズエラのギャング組織のメンバーら250人以上を国外追放した。だが首都ワシントンの連邦地裁は同日、国外追放の合法性を審理するため、政権に一時差し止めの命令を出していた。

 トランプ氏は18日、SNSへの投稿で担当判事を「オバマ(元大統領)によって選ばれた過激な左翼だ」と断じ、弾劾されるべきだと批判。「彼は大統領に選ばれたわけではない。私は圧倒的な支持を得て勝った。有権者が私に望んだことをやっているだけだ」などと訴えた。

 この投稿を受けて、最高裁のロバーツ長官は同日、「2世紀以上にわたり、司法判断に対する不服を理由に弾劾を行うことは適切ではないと確立されてきた。そのために通常の上訴手続きが存在している」とする声明を出した。司法判断への不満を理由に弾劾を求めたトランプ氏の考えを、正面から否定した格好だ。米メディアは、「最高裁長官が公の場で声明を発表することはほとんどない」(米紙ニューヨーク・タイムズ)と報じられている。

■保守派の長官による苦言、ト…

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この記事を書いた人
高野遼
アメリカ総局
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国際ニュース
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    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2025年3月19日16時7分 投稿
    【視点】

    判決内容を理由にした弾劾を認めた瞬間、裁判所は「少数者の砦」から「多数派の鏡」に変貌します。判決が気に入らないからといってその裁判官をクビにしてはならないという大原則を、日本でも確認しておくことは大切。 裁判官による個々の司法判断の評価は、

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