第13回オウム幹部を鑑定した心理学者の視点 カルト集団の30年後の現在地
オウム真理教元幹部の心理鑑定を行った立正大の西田公昭教授は、「カルト集団の『物語』はいつの時代も魅力的に響く」と警鐘を鳴らす。元幹部らが死刑となった地下鉄サリン事件の発生から20日で30年。カルトの現在地とは。悲劇を再び生まないために必要なこととは何なのか。
――そもそもカルトとは。
「『カリスマ』を中心とした全体主義的な構造を持ち、メンバーを虐待したり、金銭搾取したり、身勝手な正当化によって暴力をふるったりする団体全般を指します。言論の自由はなく、批判を許さない。個人の尊厳はなく、集団を優先させ、服従させる。プライバシーにも干渉します」
「ただ、程度の差こそあれ、同様の特徴を持つ団体はそこかしこにあります。部活動や会社にも、個人より全体を優先させる場面がある。軍隊ならその色合いは濃い。オウムなどは比べものになりませんが、こうした構造は集団のパフォーマンスを上げるのに有効で、よく取り入れられます」
――オウムの場合、教祖の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚が、教義とも絡めて様々な指示を信者たちに伝えていました。
「麻原は、核による『人類最終戦争』(ハルマゲドン)について、解脱者が世界に散らばることで避けられると説きました。善なる存在が悪を倒すという勧善懲悪的な考え方は、神話やアニメの世界、近年散見される陰謀論にも共通します。人間はこうしたファンタジー的な物語にとても影響されやすいようです」
「2020年の米大統領選後…
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