核禁会議、長崎から研究者や高校生参加 被爆80年「重要なヤマ場」

小川崇

 米ニューヨークの国連本部で開催の核兵器禁止条約の第3回締約国会議。被爆地の長崎からも、長崎大学の研究者や高校生平和大使が現地を訪れ、会議やサイドイベントなどに参加する予定だ。

 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA(レクナ))が派遣するのは、河合公明教授、鈴木達治郎教授、中村桂子准教授の3人。締約国会議への教員の派遣は今回が初めてという。

 河合教授は、条約がめざす核兵器廃絶に向けて、「条約の推進側と反対側で議論に大きな隔絶があり、どのように埋めていくか」という論点があると指摘。「建設的な議論を行うにはどうすればいいかという課題について報告書が出される」と注目点をあげる。

 吉田文彦センター長は教員を派遣する理由について、今年が戦後・被爆80年の節目で、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞後に開かれる会議だとして、「重要な山場。何が起きるかデータを客観的に集めて、丁寧にカバーする必要がある」と語る。「被爆者の方々が発信できる時間がだんだん限られていくなかで、この条約が力を保ち続けられるのか、そういう研究をしないといけない。RECNAには特にその責任がある」

 核廃絶を訴える活動に取り組む「高校生平和大使」も現地を訪問。長崎から参加の長崎西高2年の小林真夕さん(17)は、祖父や曽祖父らが被爆したという被爆3世だ。「被爆者の経験や思い、核兵器が平和を保つために必要ではないことを、日本の若者として伝えていきたい」と訴える。

 現地では、会議の傍聴以外にも関連イベントでの発言や若者らとの交流もある。準備しているスピーチには、長崎原爆で家族を失った悲しみを俳句に詠んだ、被爆者で俳人の松尾あつゆきさん(1904~83)の作品からの引用を盛り込むつもりだ。交流などを通じて「争いごとを無くすためには対話が一番だということを、私たちの姿で表したい」と語る。

 締約国会議は3~7日、現地であり、核被害者の救済などが議題となる。昨年12月のノーベル平和賞授賞式に出席した日本被団協の代表委員らは日本政府に対し、被爆国として会議にオブザーバー参加するよう求めていたが、日本政府は3回連続、参加を見送った…

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この記事を書いた人
小川崇
長崎総局
専門・関心分野
戦争・平和