第12回ふだんは月収20万円台、それでも起きた年金全額カット 働く高齢者

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浜田陽太郎

連載「年金 私たちの暮らしは」

老後の生活を支える公的年金。「年金担当」の30代記者と、受給開始がそろそろ見えてきた50代記者が、複雑な制度や将来の見通しなどを読み解きます。

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 もうすぐ59歳。年金の受給開始が現実味を帯びている「アラ還」記者です。

 働けるうちは働いて、「人手不足ニッポン」を救いたい!……。と言えば、大げさですが、年金を受け取り始めても、時間と能力が許す限り稼げればと夢想します。

 ところが、その意欲に水を差すのが「在職老齢年金」という制度です。月額の年金と賃金(標準報酬月額)の合計が基準額(2024年度は50万円、25年度は51万円)を超えると、超えた分の半分がカットされます。いわば、高齢者版「就労の壁」です。

 たとえば25年度、65歳から受け取れる厚生年金基礎年金を除く報酬比例部分のみ)が月額10万円。働いて得る賃金(ボーナス込み)が同50万円あるとします。

 年金と賃金の合計は60万円ですから、51万円を超えた9万円の半分、つまり4万5千円の年金が「支給停止」になります。

 賃金が61万円になると、61万円プラス年金10万円は71万円ですので、超過分は20万円。その半分は10万円。つまり、厚生年金10万円がゼロになってしまいます。

 その影響は、今受け取っている年金だけでなく、年金を増やすため受け取りを遅らせる「繰り下げ待機中」の年金にも及びます。

 その注意点については、以前の記事(第6回と第7回)に書きました。

 「高い給料をもらっているならしょうがないんじゃないの」という声も聞こえてきそうです。しかし、それほど高賃金でなくても、年金全額カットの憂き目にあった人がいました。

 いったいなぜ? くわしく話を聞きました。

「支給額変更通知」にがっかり

 「引っかかるとは思っていた…

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この記事を書いた人
浜田陽太郎
論説委員|社会保障担当
専門・関心分野
社会保障、定年後

連載年金 私たちの暮らしは(全20回)

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