第6回女性カップルへの生殖医療、目指すものとは 協力する医師の真意

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野口憲太 友永翔大
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 第三者が提供する精子を使った生殖補助医療を、女性同士のカップルにも提供してきた医療機関が、朝日新聞の取材に答えた。今国会に提出された「特定生殖補助医療法案」で「違法」とされる行為だ。これまでどんな思いで協力し、法制化の動きをどう見ているのか。医療の現場から考える。

 医療機関は取材に対し、性的マイノリティーの出産や子育てを支援する一般社団法人「こどまっぷ」を通じて書面で回答した。

 この医療機関では2017年ごろから、国内で、子を望む女性同士のカップルに対し、第三者に提供してもらった精子を使った生殖補助医療を実施してきたという。

 きっかけは16年ごろ。海外の精子バンクに紹介された日本人の女性同士のカップルが受診したことだったという。当初は断っていたが、「彼女たちの子どもが欲しいという気持ちは純粋で、出産後も家族全員で支えていくことがわかった」ため、協力することになったと経緯を明かした。

 「子どもを持ちたいという気持ちは、婚姻関係にある夫婦に限らず、すべての人が持っているもので、同性のカップルあるいは単身者であってもそれは変わらない。子どもをつくる権利や生む自由はすべての女性にある」と、この医療機関の医師は答える。

 法律婚以外のカップルへの生殖医療は、現在の医療界のルールでも正式に認められているわけではない。日本産科婦人科学会は自主的ルール「会告」で、第三者の精子を使った人工授精(AID)について「法的に婚姻している夫婦」に限るとしている。第三者の精子を使う体外受精についての会告はなく、禁止も容認もしていない。ただし、体外受精そのものについては、事実婚も含む「夫婦」を対象者だと定めている。

 法的拘束力のない学会内のルールとはいえ、抵触のおそれがある医療をなぜ続けてきたのか。

 この医療機関は、生殖補助医…

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