少数派含めた「私たち」へ 「命と健康」で負のトランプ効果に抗する
「つくろい東京ファンド」 大澤優真さん
移民排斥を掲げたトランプ米大統領が再登板する。困窮する外国人らの支援に取り組む「つくろい東京ファンド」の大澤優真さん(32)は、日本の現場でもすでに負のトランプ効果が出始めていると警鐘を鳴らす。どうすれば、少数派を含めた全員が「私たち」であるような社会に近づけるのか。大澤さんは「命と健康に注目すること」を提言する。
排除の言い訳に使われるトランプ発言
生活に困窮している人々を支援する活動をしています。もちろん、どの国の国籍を持つ人であろうと分け隔てをせずに支援します。
今、トランプ氏が再び米大統領になると決まったことに心配を感じています。
実際、「移民や難民を日本に受け入れたらどれだけ混乱してしまうか、トランプさんの主張を見れば分かるだろう」と批判されることがあります。外国人などの少数派を攻撃するトランプ氏の主張が、少数派の排除を正当化する言い訳として使われてしまうのです。
日本は現状でも移民や難民に厳しい国です。国内に暮らす外国人の約半数は、どんなに困窮してもセーフティーネットである生活保護を受けられません。
また、入管施設への収容を一時的に解かれた「仮放免」の外国人を対象に私たち「北関東医療相談会」が行った実態調査(2021年)では、1日の食事回数が2回の人が60%、1回の人も16%いました。就労の禁止もあり、本人収入がゼロの人が70%。経済的余裕があれば治療したい病気やケガがあるという人は79%でした。「命と健康」がないがしろにされていたのです。
「外国人の前に日本人の困窮に支援を」という心情
それでも支援中には「外国人の前に日本人の貧困を支援しろ」とよく言われます。底辺労働者を名乗る日本人男性から「うらやましい限りだ」と言われたこともあり、少数派ではなく多数派を支援してくれと訴えたい心情がうかがえます。
しかし、外国人を排除して人…
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